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・神話の構造と古典の章立て

H28年5月18日(水)初稿
『日本書紀』の章立て
古事記は格別に章立てはしてないわけだが、『日本書紀』は以下のように各章に題名がついている。()内はそれに該当する古事記の部分。

第一巻・神代上
 神代七代章 …(天地のはじめ)
 大八洲生成章…(国生み島生み)
 四神出生章 …(神生み、黄泉国、三貴子の誕生)
 瑞珠盟約章 …(天照大神と須佐之男命との誓約、三女神五男神の誕生)
 宝鏡開始章 …(天の岩戸)
 神剣出現章 …(八俣の大蛇、大国主)
第二巻・神代下
 天孫降臨章 …(葦原中国の平定、天孫降臨、木花之佐久夜毘売)
 海宮游幸章 …(海幸山幸)
 神皇承運章 …(鵜萱葺不合命、神武天皇の兄弟)

これの面白いところは「瑞珠」「宝鏡」「神剣」とついており「三種の神器」の由来を強調した名称になっているのが特徴。「八咫鏡(やたのかがみ)と天の岩戸」、「草薙剣(くさなぎのつるぎ)と八俣の大蛇」の組み合わせはまさしくその通りで妥当だが、玉と誓約(うけひ)はどうなのか。誓約では玉と剣が両方でてくるのであって玉が主役とはいえないし、そもそも三種の神器の八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)は誓約の物語とは関係していない。なのでややバランスの悪い構造理解といえる。
三種の神器のそれぞれの名は後世には固有名詞のようになったが、もともとは普通名詞であったと思われる。なので、同じ名だからといって同一のものとは限らないし、逆に名前が違っているから別のものとも限らない。例えば、伊邪那岐命が三貴子にそれぞれの支配領域を分けた時に「御倉棚神」(みくらたなのかみ)という玉が出てくるが、これが八尺瓊勾玉のことだろう。国生みのはじめに、天之沼矛(あめのぬほこ)が出てくるが、これは草薙剣と同じ意味をもつ。ツルギは武器が発達して種類が増えてから出てくた名前で、古くは武器はみなホコといったのであって、天之沼矛と書かれているからといって槍のようなものに限定して考える必要はない。これらの神器を授けるのは世代交代を意味してもいる。伊邪那岐命に「この漂へる国を修理り固め成せ」と命じて天之沼矛を賜ったのは、それによって「伊邪那岐命」の時代が開幕したことを告げる。そして、伊邪那岐命が「汝は高天原を知らせ」と命じて天照大神に御倉棚を賜り、同時に「汝は海原を知らせ」と須佐之男命に命じたのは、ここに伊邪那岐命の時代が終わって、天照大神と須佐之男命の時代が始まったことを意味する。最後に、天照大神は八咫鏡に剣と玉も添えて邇々藝命に天壌無窮の神勅をくだし、ここに邇々藝命の時代が始まって今に至る。このように三種の神器は神話の中の時代の区切りに関係している。

『先代旧事本紀』の章立て
『先代旧事本紀』は以下のようにわかれている。

神代本紀 巻一 …(天地のはじめ)
陰陽本紀 巻一 …(国生み神生み)
黄泉本紀    …(黄泉国、禊、三貴子)※1
神祇本紀 巻二 …(誓約、天の岩戸)
天神本紀 巻三 …(葦原中国の平定)
地祇本紀 巻四 …(八俣の大蛇、大国主)
天孫本紀 巻五 …(饒速日尊(にぎはやひのみこと)のあまくだり)※2
皇孫本紀 巻六 …(天孫降臨、木花之佐久夜毘売、海幸山幸、鵜萱葺不合命、神武天皇の兄弟)※2

※1黄泉本紀は十巻本では独立せず、内容は陰陽本紀に包括されている。七十二巻本・三十巻本などでは別立。
※2皇孫本紀は別名天孫本紀ともいい、天孫本紀も別名皇孫本紀という、とあり。つまり言葉の意味は同じだが、区別するために便宜上使い分けているわけでどっちがどっちの名でもよい、という趣旨らしい。

天神と地祇との起源・相克・統合の過程に力点をおいた名称になっているのが特徴である。しかしスッパリ分かれてるわけでもない。黄泉国は「地下」の物語、天の岩戸は「天上」の物語、八俣の大蛇は「中国」(天下=地上)の物語で、三つの世界が語られている。
その後で、国津神による国造り、天津神による国向け(国譲り)、皇祖邇々藝命による肇国(天降り)がありこれはそれぞれ「地」、「天」、「天地の合一」に対応している。邇々藝命が人皇の祖という意味では「地・天・人」と対応しているともみられる。
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