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・復奏(カヘリゴト)

H26年10月19日投稿  (H26年10月15日初稿)
「復奏(カヘリゴト)」について。

「復奏」は「復命」と書いてもよし。「覆奏」と書くと意味が違ってしまうので本来は間違い(「覆」は「復」の旧字体ではなく別の字)。「復命」は「報命」「反命」ともいい、意味は同じ。しかし神道の用語としては「復命」「復奏」が使われ、「報命」「反命」はまず使われないが、必ずしも間違いだとも言い切れない。重要なのは「カヘリゴト」という大和言葉であって漢字表記ではない。

『古事記』には「復命」と書いた例はなく、「復奏」8ヶ所「覆奏」6ヶ所、計14ヶ所ある。

(○印が復奏、×印が覆奏)
○天之菩卑命〜天若日子の段
○同上
○同上
○同上
○建御雷
×海宮から御子を送る鰐
×崇神記・埴安彦の乱
×垂仁記・品智別命
×景行記・出雲建
×景行記・弟橘媛(※注)
○仁徳記・隼別の乱
○顕宗記・御陵の土

(※注)
弟橘媛のところは、日本文学電子図書館というサイトにある古事記は「復奏」になってるがこれは岩波の古典文学大系と日本思想大系の両方で校異を調べたところ、本当の原文では「覆奏」になってることが確認できた。よってこのサイトの単なる入力ミスだと思われる。

「復奏」と「覆奏」のちがい
本居宣長は『古事記伝』の中で海幸山幸の段の「覆奏」に注して「中巻にも如此書り。覆は復なり。書紀にも、復命を服命とかき、萬葉に都を堵と書るたぐひ、往々あり。みな音の通ふままに、あらぬ意の字をも書ること、古書の例なり。漢籍にも、覆奏と云ことあれど、其は異意なり。又漢には、覆を復と作る例はあれども、復を覆と作ことはなし」といってる。漢語では「復奏」と「覆奏」は意味が異なり、「覆奏」は「何度も調べなおしてから申し上げる」の意味。しかし『古事記』は「復奏」の意味で「覆奏」と書いてる。漢文だったら「覆奏」は誤りで「復奏」に統一しなければならないが、『古事記』の文章は漢文ではないのでセーフ。なんか秀吉が「醍醐」って字が思い出せない役人に「大五」と書けばいいじゃんって言った話と同じ理屈か。ここは宣長が贔屓の引き倒しじゃないのかと思われる。借音はいいのだが、よりによって字形が似すぎ。ここは単純に間違いってことでいいような気がする。

「復奏」と「復命」は同じ
また天之菩比命の段の「復奏」に注してこうも言ってる「加幣理言とは、使ノ人の還て申ス言と云意にて、加幣理は其ノ使に係る言なり。然るを今京になりて後、答歌を返しと云から、加幣理言をも、彼方の答へ言の意と思ふは、違へり。漢文に復命と云復は、かの返しと云に當れり。加幣理言の加幣理には當らず。さて中昔の物語文などに、加幣理言を、唯加幣理とのみ云ヒ、又御ム加幣理と、御を添ヘて云るなどは、違へることなれど、是レらは後に轉りて、加幣志と加幣理と一ツになれるなり」。復奏(かへりごと)は派遣された者が帰還(=カヘリ)してから報告するのが原意であって、命令者の言葉に返事(=カヘシ)することじゃない、と。漢文の「復命」は後者(命令者の言葉に返事)でこの復は言葉に答えを返す(報告する)こと、「復奏」の復は往路・復路というときの復路(かえりみち)で、同じく「かえる・かえす」といっても復命の復は【返】、復奏の復は【帰】の意味。しかしこの話は、あくまで単語の構成のしかたが違うって話であって、カヘリゴトの当て字として「復奏」はいいが「復命」はダメって話になるのはおかしい。『日本書紀』(神代巻しか調べてないが)には「復命」4カ所(月夜見尊、天稚彦2ヶ所、経津主命)、「報命」3ヶ所(伊弉諾尊、天穂日命、天稚彦)出てくるがすべて遠方に出かけた人が帰還して報告する意味に使ってる。これはつまり、遠方に出かけた以上、帰還しないと「復命」もできないわけだから、単に「復命」という字を使っただけでも言外に「カヘリゴト」の意味が含まれてしまうからだろう。「復奏」にしたってそもそも帰還するのはきっちり報告する(復命する)ためだろう。復路を帰還してくることと、上司に言葉で報告することは一体で切り離したら意味がない。復命は「反命」「報命」とも書くが結果的に全部「復奏」と同じ意味になる。


上から下に言うのは「のる」(詔・宣)、
下から上に言うのは「まをす」(申・白)。
ミコトはノリ、カヘリゴトはマヲス。
ミコトノリ(詔・勅)を受けた人が「ミコトモチ」(宰・司)、
ミコトモチは必ずカヘリゴト(復奏・復命)しなければミコト(命)が完結しない。
ミコト(天命・召命・使命)
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