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・「大魚」はなんと読む?

H27年10月26日初稿 (H27年10月21日(水)のメモによる)
「大魚」という女性の名
袁祁王(後の顕宗天皇)と志毘臣(平群鮪)が歌垣で争った女性の名が「大魚」。この大魚、本によっては「おおお」(角川)、「おおうお」、「おふを」、「おうお」といろいろに読まれている。普通は「おふを」とされるが、ご存知の通り奈良時代には母音連続が避けられ母音が連続する場合は前の母音が消えるのが鉄則、という国語学界の通説がある。そのため「おほ-うを」[oho-uwo]が「おふを」[ohuwo]となる理屈。

母音は連続してもよい
しかし、個人的にはこの母音衝突は奈良時代の一時的な現象だと考えるので、あまり拘泥する必要はないと主張したい。まして人名としての大魚は奈良時代よりずっと前の人なんだからなおさら意味がない。個人的には[oho-uwo]でももちろん良いと思う。「おふを」を現代仮名遣いで表記すると「おうお」、現代語で発音すると「オーオ」だが、語感がへんだし、そこまで四角四面にいわなくても現代日本語では「オーウオ」でいいだろうと思う。

「お」(大)「を」(小)の別案
「大・小」の古訓は「おほ・を」だが現代語訛りの発音では「オー・オ」で似てる上、古い時代には「大」は「お」ともいったのでなおさら紛らわしい。仁賢天皇の名「おけのみこと」、顕宗天皇の名「をけのみこと」は現代式の発音では耳で区別できない。「お」は「おほ」の略なのか、もともと「お」だけで大の意味を表していたのかは不明(国語学界には何らかの見解があるのかもしれないが俺はしらない)。中世では「大」は「うほ」とも訛り、「う」と略すこともできる。中世語は和語の場合、残存していた上代語が和文の興隆によってたまたま表面化したということがありうる(証明はできないが)し、現代語訛りの読み方が許容されるなら中世訛りはさらに許容されてしかるべきなので「大魚」を「うほうを(ウオウオ)」「うふを(ウーオ)」と読むことが論理上可能となる。また「小」の古訓には「を」「こ」の二つあるが、現在の記紀の読み下しで「を」が採用され「こ」が避けられ勝ちである理由はよくわからない(これも国語学界には何らかの見解があるのかもしれないが)。「大」を「うほ」とするか「小」を「こ」と読むかいずれかを採れば紛らわしさを大幅に緩和でき、両者を採用すれば紛らわしさは完全に消去できる。ただしこの場合の「紛らわしさ」とはあくまで現代日本人にとってのことにすぎないが。その上、多少紛らわしくても古雅な語感を愛でたいと思う方が俺を含め多数派だろう。

本当に「うを」でいいのか?
「魚」の古訓は「うを」の他に「いを」と「な」がある。「いを」は岩波の日本書紀の冒頭の「魚」の字を「いを」と読んでる他、紀の歌謡にも「うを」がでてくる。用例みると上代から平安期まで平行していたらしくどっちが古いか俺には判断つかないが、国語学界の雰囲気としては「うを」の方が古いとみている感じかな、これも『字訓』になにか説明あるかもしれない。「な」は記紀にも万葉集にもある。個人的には「な」のほうが「うを」「いを」より古いように思う。大魚は「おふを(オーオ)」「おほうを(オーウオ)」の他にも「おほな(オーナ)」「おほいを(オーイオ)」「おひを(オイオ)」「おな」「おいを(オイオ)」「おうを(オーオ)」等の可能性があるわけだが女性の名として冒頭に「お」がくるのは後世の「お花」「お岩」「お銀」「お駒」「お菊」「お玉」「お静」とかの類を連想されておもしろい。この接頭辞の「お」も語源は「大」、大魚さんの生きていた頃の日本語とは関係ないが。魚の読みは女性らしい語感というと「な」>「いを」>「うを」かな。根拠はないが個人的には「おな」がイチオシ、次点で「おほな」を推したいw
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